なぜ長崎がカジノの有力候補地なのか。その理由とは何か。

なぜ長崎がカジノの有力候補地なのか。その理由とは何か。
現在、与党の自民党と公明党の間で、IR実施法案の中身について詰めの協議が山場を迎えています。
カジノ法案の全容が固まれば、現在開催されている通常国会にIR実施法案が提出される予定です。そして法案が成立すれば、次の焦点は、どの場所にカジノ施設を含む統合型リゾート施設(IR)の建設が認可されるかに移ります。
与党の間では、認可設置数は上限を3ヶ所として合意しており、長崎もそのカジノ有力候補地とされています。
今回は、なぜ長崎がカジノ有力候補地なのかを述べてみたいと思います。

長崎県や佐世保市だけでなく、長崎県民がカジノ誘致に積極姿勢

長崎県や佐世保市だけでなく、長崎県民がカジノ誘致に積極姿勢
長崎県は、佐世保市にあるハウステンボスへのIR誘致に向けて、積極的な姿勢を示しています。
そして長崎県民も、IR誘致の方針を支持していると思われます。今年の1月に長崎新聞が長崎県民に対してIR誘致に関する世論調査を行ったところ、賛成が46%、反対が38%という結果が出ています。
そして、今年の2月上旬に長崎県知事選挙が実施され、佐世保市のハウステンボスへのIR誘致を公約に掲げた現職が再選を果たしました。長崎県民の民意は、IR誘致を認めたといえます。
地域によっては住民がギャンブル依存症への嫌悪感を前面に押し出して、IR誘致について反対姿勢を鮮明にしているケースもあるため、住民がIR誘致に賛成していることは、カジノ有力候補地としての大きな要素となっています。

カジノ誘致は九州政財界の協力体制

カジノ誘致は九州政財界の協力体制
長崎ハウステンボスへのIR誘致活動においては、長崎県や佐世保市だけでなく、経済界も積極姿勢を示しています。
具体的には、九州の経済団体である九州経済連合会や佐世保商工会議所、そしてハウステンボス社長の澤田秀雄氏らが要望者となり、2017年8月には自民党に対してIR誘致の要望書を提出しています。
なお、九州財界の総本山である九州経済連合会の現在の会長は、麻生セメント会長の麻生泰氏です。
元首相で現在の副総理兼財務大臣の麻生太郎氏の実弟でもあります。

麻生太吉が明治時代に飯塚市で始めた「麻生炭鉱」を源流とし、現在ではセメント事業、専門学校運営、病院経営、医療廃棄物処理など幅広い分野の事業を手掛けている。
引用元:Wikipedia | 麻生 (企業)

麻生セメントグループは九州地方の北部エリアで主に事業展開をしており、セメント業だけでなく建設関係、病院経営など多岐にわたり、九州地方の北部エリアにおいては強い影響力を持つ企業グループでもあります。
安倍政権において副総理兼財務大臣を務める麻生元総理の実弟が、九州経済連合会のトップも務めているわけですから、現在の九州財界は、安倍政権と直結しているといっても過言ではありません。
安倍政権の間に、国会においてIR実施法案が成立し、具体的なIRの区域認定が行われるのであれば、長崎はカジノ有力候補地となると思われます。

カジノ候補地としての長崎県のポテンシャル

カジノ候補地としての長崎県のポテンシャル
長崎県は、日本有数の国際観光地となるポテンシャルを持った地域であり、IRを設置するにあたって、もっとも適していると表明しています。
その理由としては、まずアジアとの地理的近接性を挙げています。
長崎空港や佐賀空港、福岡空港を活用すれば、中国の北京、上海、台湾、韓国、日本の東京からは3時間以内に来ることが可能であり、長崎のハウステンボスに来場可能な都市人口は6000万人に達することを挙げています。また、4時間圏内には香港も含まれることから、来場客数のポテンシャルは高いと判断できます。
次に、すでにハウステンボスというインフラが用意されている点が挙げられます。すでに152ヘクタールの土地に、2500億円の資本が投下されてハウステンボスというリゾート施設が開業しており、年間来場客数は300万人に達しています。
ハウステンボスにカジノ施設を含む統合型リゾート施設(IR)を誘致できた場合には、他の立地と比較すれば初期投資費用を抑制できることは間違いなく、早期に初期投資費用を回収したうえで、利益を計上できると思われます。
さらには、ハウステンボスにIRを誘致できた場合には、九州新幹線やJR九州の豪華観光列車(ななつ星)といった観光インフラを有効活用することが可能となるため、九州地方のさまざまな歴史遺産や観光地への観光客誘致を図ることができると思われます。
九州地方を振興するという観点から、長崎はカジノ有力候補地といえます。

カジノが長崎にできると経済効果はどのくらいか

カジノが長崎にできると経済効果はどのくらいか
長崎県は、IRを誘致した場合の経済効果についても試算を公表しています。
初期投資金額は500億円で済むと試算しており、なおかつ経済効果は約2500億円としています。さらに、観光客数が約320万人増加し、新規雇用者数は約11000人となると試算しています。
大阪における初期投資金額は8000億円を超えると試算されているため、費用対効果の観点では、長崎ハウステンボスの投下資本に対する利益率や、経済効果の効率性は群を抜いて優れていると評価できます。

澤田秀雄氏の経営手腕

澤田秀雄氏の経営手腕
ハウステンボスは2003年に会社更生法の申請に陥る苦境に至りましたが、2010年にエイチ・アイ・エスの創業者である澤田秀雄氏が社長に就任し、経営再建に着手しました。そして、初年度から黒字経営に転換し、周囲を驚かせました。2017年度の今日に至るまで黒字経営を毎年続けており、その経営手腕は優れていると断言できます。
また、ハウステンボスには2012年には拡張技術(AR)を用いたアトラクションを導入したり、2013年には宝塚歌劇団を手本としたハウステンボス歌劇団を創設して人気を博したり、「変なホテル」を開業して人気を得るなど、澤田氏のビジネスアイデアの創出能力には定評があります。
他には、2005年には経営破たんした九州産業交通に資本参加して、経営再建に成功しています。そして2000年にはエイチ・エス・協立証券に資本参加し、現在はエイチ・アイ・エスとは別会社の澤田ホールディングスとして株式を上場させることに成功しています。
澤田氏は、カジノ施設を含む統合型リゾート施設の誘致に成功した場合には、海の中に水中カジノを建設するとアイデアを披露しており、今後もさまざまなアイデアを生み出して、アジアのIRとは一線を画す、競争優位性の高いIR施設をオープンさせ、来場客数をどんどん増加させてくれるものと思われます。
そして、ハウステンボスの黒字経営を継続させるだけでなく、九州地方の地域振興にも手腕を発揮してくれるものと思われます。澤田秀雄氏の存在そのものが、長崎がIR誘致のカジノ有力候補地となっている根拠ともいえます。