第32回あいうえお色日記

「みずいろ」

飛行機の窓から見る空は、特にうつくしいと思う。
地上で見る何倍も大きく広がり、そこにすっぽりと包まれてしまう。

わたしは、飛行機に乗っている時間が好きだ。

離着陸の前後は窓に張りついて、くるくる変わる景色に見とれる。

小さく見えるビル群も、
地図帳で見るような山の稜線も、
蒸気やひかりの加減で変わる微妙なニュアンスの空のふちの色も、たのしい。

それが落ち着くと、機内誌を開く。
JALなら浅田次郎氏の、ANAなら伊集院静氏の連載がおもしろい。

夢中になっていると、飲み物を聞かれる。
大体、コーヒーかスープにする。

飲みながら、到着地に思いを馳せ始める。
どんな天気だろう、どんな景色だろう。

旅行でたまに乗るくらいだから、いいのだろう。
出張のたびに何時間も乗るなら、たしかにそれは負担になる。
おまけに島なら、フェリーまでついてくる。

でも、都内の満員電車もなかなかだ。
天気の悪い日なんて、心底うんざりしてしまう。
みんな同じ、そう思って乗り込む。

移動。
しなければならない場合と、
しなくてよい場合。
したい場合と、したくない場合。

取り除くべきなのか、
そもそも本当に取り除けるのか、
書きながら考えたけれど、わからない。

ひとつわかるのは、
少なくともわたしはまだ、移動したいお年頃だということ。
そう思えるうちに、たくさん移動しておこうと思う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です