日記

第36回あいうえお色日記

「やまぶきいろ」
色日記を書くために、よく写真のフォルダを見返す。

こうして文章を書いているし、
かんたんに連絡を取ることができるから
あまり遠い気がしないけれど、海士にいたのは秋だった。

今や空気が春めいてきている。あっという間だ。

わたしは、バランスが取れている状態を好む。
ひとつにのめり込んだり、信用しきったりすることが苦手だ。

だから、
こうしてワーホリの1ヶ月をくり返し反芻していると、不安になる。

覚えていること、よかったことばかりが何度もなぞられ濃くなって、
その他の部分がどんどん薄まっていく。

薄まった部分は、きっといつか、無かったことのようになってしまう。

うそだなあ、と思う。
思い出なんてきっと、大体、うそだ。

でもその「うそ」の状態は、
自然なのだろうとも思える。
人間らしい。
人間としては「ほんとう」の状態なのかもしれない。

そういうアンバランスなところを、
赦してゆきたいと思う。

薄まったら塗り直しに行けばいいじゃない、くらいの
ほがらかさを持っていたい。

秋は空が高くて、木々が彩り豊かで、うつくしかった。

わたしの中で海士はそうしたうつくしい背景で思い出されるけれど、
それはうそであり、ほんとうでもある。