日記

第33回あいうえお色日記

「むしょくとうめい」

光は、見えない。
色がないのではない。
色を持ちすぎて、見えない。

遮る何かがあってはじめて、
光はわたしたちに見える色を放つ。

そのものだけを見つめて輪郭を掴もうとするのは、難しい。
ほとんどの物事がそうかもしれない。

はね返ってきたものに触れること、
あるいは違いを比べることで、
少しずつ見えてくる。

たとえば、
自分を理解したいのならなるべく多くの人と関わったほうが良さそうだし、
日本のことを考えたいのなら海外に行ってみるのが良さそうだ。

島を好きになりたいなら都市に、
都市を好きになりたいなら島に、
行ったほうが良いかもしれない。

島から帰ってきて、思う。
今の生活が好きだ。

友人たちに会える大学も、
蔵書数が多い図書館も、
興味のある美術館や写真展にすぐ行ける環境も、
きらめくビル街も、
多くの人と接するアルバイト先も、
心地良いし愉しいなと思う。

もちろん、海士のことも、好きだ。

すべては知らないけれど、
知っているかぎりの海士を、好きだと思う。
恋しく思う景色、人、思い出はたくさんある。

都市での生活が好きなことと、
島でのくらしを恋しく思うことは、
別個だ。両立しうる。

つながってはいるけれど、
相反することではない。


ワーホリに行ってから、
輪郭がくっきりしてきたことや、
大切に思えるようになったことが多い。

ものが介在してはじめて見える、光と同じなのだろう。