シリーズ

第29回あいうえお色日記

「べにいろ」

元旦に撮った山茶花。
家から最寄り駅までの道に咲いている。

わたしはお正月の三が日を飲食店でのアルバイトに費やした。

お正月なのに早起きをして、
鼻がつん、とするような冷たい空気を吸って、
真っ青な空の下、ガラガラに空いた電車で出勤する。
あぁえらい、なんかかっこいい、と自分で思ったりした。

お店に着くと見慣れた社員さんたちの顔。
いつも通り。こうやって、働いている。
特別な日も、いつもと変わらず働いている人がいる。

すごく安心した。こういうところが、現実的で好きなのだ。
働くってこういうことだよなぁ、と感じる。

今年はわたしもそこに仲間入り。
なんだかちょっと特別な気分で、いつにもまして良い接客をしよう、良い動きをしよう、と思った。
仕事にこだわりを持てることや最善を尽くそうと思えることが、そしてそう思わせてくれる職場の環境が、うれしい。

海士でのわたしの仕事はこれだった。
仕事というより少しお邪魔して手伝わせてもらった、という方が感覚として近いけれど、それでも、ちゃんと向き合った。

イカを洗う、並べる、量る、加工品を作る、袋に入れる、箱を組む。
わたしなりに出来ることは増えていったし、見える範囲も広くなった。

全体が見えてくると、やりやすい。
何のための作業か、誰が何が得意か、一日のノルマはどれほどか。
単純作業だけれど、頭と目を使う。侮れない。

ここでもわたしは、「働く」を感じて安堵した。

次の作業をする人がやりやすいように気を遣うし、
見栄えが良いようにこだわる。
活きが良いと喜ぶし、
量が多いと効率よく進むよう相談して段取りをする。

「働く」はたいていの場合、どこにいても生活の基盤となる。
生活を感じられるから、わたしは「働く」に安心するのだと思う。

きっと、このあたりがワーキングホリデーの良さのひとつ。
ただのホリデーでは感じられなかったことだな、と思う。