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第27回あいうえお色日記

「ひそく」


秘色。ひしょくともいう。冬に似合う、淡い水色。

西ノ島に行ったときの写真。
気持ちよく晴れた日。
ひとりで、よく知らない島に来て、車を借りて運転して、海を見ている。知っている人はいなくて、というかまず人がいなくて、牛と馬に囲まれている。
日が暮れたら車を返して、船に乗って、さらにバスに乗って、帰る。
家族のいない家で、ごはんを食べる。

ずいぶん遠くまで来た、と思った。
もう、自分で自分の存在する場所を選べる歳になったのだ。
歳の問題ではないかもしれないけれど、
自分の居場所を選べるということには、おとなのイメージがある。

どこに行って何をするか、誰と過ごすか、何を見るか。
おとなになるにつれ、選べることが増える。自分で自分に責任を持てるようになる。
何を、どう選んでゆくだろう。

まさに秘色のこれは、あまマーレで選んだ着物。色に一目惚れして買った。
着るかどうかは、問題ではない。
案の定、畳んだままだけれど見るたびうれしくなる。選択は、間違っていなかった。