島に辿り着くまでの旅(2)〜インドへの旅〜

大学4年生の2017年2月、僕は初の海外一人旅に出かけた。インド。

どうしてインドにしたかというと、なんとなく面白くなりそうだったから。他にも小さな理由が自分の中にいくつかあるのだろうけど、何かするのに大した理由なんて必要ない、といつも思う。理由は後からわかる。
なんとなく長期休暇といえばバックパッカー。バックパッカーといえばインド。そんな感じ。ひと昔前までバックパッカーといえば地球の歩き方や現地で仕入れた少ない情報で旅をしていたと思うが、今となっては現地で購入したSIMカードを挿せばスマホが使えるため、大分簡単になっていると思う。それでも刺激のある経験がしたいならバックパッカーが手っ取り早い。

インド西部を中心に11日間、旅行した。デリー、バラナシ、アーグラー、ジョードプル、ジャイサルメール、ジャイプール。
3年近く前のことなので正直詳しくは覚えていないし、全ては当然書ききれないので少しだけ。僕はあまり外交的でない人間である。海外でコミュ力や人脈を駆使した面白エピソードは特にないが、普通にしていても面白いことは起こる。

早速だがインド旅行初日、僕は夕方の上海での乗り継ぎに間に合わず、急遽24時間上海で過ごすことになってしまった。海外旅行の洗礼を受け、僕の初海外は中国に変わった。もちろん上海について全く情報を持っていないが、折角の上海を無駄にはできない。

航空会社の手配したホテルにとまり、早朝誰もいない食堂でご飯を食べながら、絶望的に遅いWiFiで上海の地図だけとりあえずダウンロードした。ただ、全く行く予定のなかった所の地図を見せられても、どこに行けばいいかわからない。そもそも現金を持っていない。ホテルから最寄りの地下鉄の駅に行き、たむろっていたおじさんにATMの場所を尋ねるがATMは通じないらしく、MONEYと引き出す手の動きを繰り返す。すると、任せろと行った感じで理解したおじさんに連れてこられたのは普通の自動車。初海外で知らないおじさんの車、普通に怖かった。あとで気づくのだが、白タクだった。

「上海中心地」

十数分でちゃんと銀行に到着。カードを入れ、ENGLISH、WITHDRAWを押すと、100,200,300,500,1000と出てきた。あと数時間しかいない上海でいくら必要か相場が全くわからな買ったが、とりあえず500元を引き出した後、白タクで駅まで戻ってもらう。駅を往復した料金は80元だった。適切な値段だったか未だに分からない。

地下鉄に乗るため車から降りようとすると、どこに行きたいんだ?と聞かれる。それは俺もわからない。とりあえずメモ帳に「上海中心地」と書いて見せる。するとおじさんはペンをとり、300元とメモ帳に書いた。上海中心地までの値段らしい。残金420元で300元のタクシーは不安である。それにぼったくられてる気もして、僕は地下鉄の地下への階段を指差し車を降りようとした。するとおじさんは300に横線を引き、下に250と書いた。それでも僕は地下鉄の階段を指差すと、わかったわかったと言った感じで、250に横線を引き200と書いた。

正直、地下鉄に乗っても「上海中心地」の最寄駅はわからないし、200元は相場通りなんじゃないかと思い、OKした。そこから40分ほどタクシーに乗り到着。確かに上海中心地っぽかった。

その後小さいローカルな店で美味しい水餃子を食べ、街をうろうろした後、切符の買い方をお姉さんに教えてもらって地下鉄でホテルから最寄の駅まで帰った。地下鉄の値段は6元だった。

「ニューデリー駅の西側、客引きに注意」

「ブドウは安くて美味しい」

翌日、無事にインドに入国した。

インドでは目を開けている間、ずっと面白いものが見えている。
クラクションは鳴り止まないし、車は道を譲り合わないし、客引きがすごいし、外で散髪してるし、牛がどこにでもいるし、眼鏡屋の隣に肉屋があって目の前で捌いてるし、平気で嘘をつかれるし、噛みタバコのせいか唾を道に吐きまくってるし、映画の上映前に国歌が流れてみんな立って歌ってるし、僕がみたインド映画は全然ダンスシーンなかったし、めっちゃ見えるところで野糞してるし、朝には大勢でヨガをしているし、電車は9時間遅れるし、ノンスパイシーと言われた食べ物は辛かったし、カレーは絶対辛い。

それに僕にとっては初めての壁にぶつかる。
お店に入るのは緊張するし、メニューは読めないし、トイレの使い方は難しいし、駅のWiFiにログインするには電話番号が必要なので優しそうな人に頼んで電話番号を教えてもらったりしたし、電車は定刻通りにつかない上、アナウンスもなし、ホームに駅名も書いていないため、いつ降りたらいいのか人に聞かないとわからないし、路線バスは行き先があってるか不安すぎるし、リキシャの値段交渉は億劫だし、スパイスで肛門はやられるし、カレーは絶対辛い。我ながらよく頑張ったいい経験である。

「タージ・マハルの川を挟んで反対側にある公園にいた少年たち」

インドに入国して早いうち、タージマハルのあるアーグラーで、僕はあと一週間以上過ごすインドに嫌気がさしてきていた。おかしな事が起こる非日常にストレスが溜まっていた。
この日も、人力車で駅からタージマハルまで10ルピーで行くとおじさんと合意したのに、到着すると、おれは頑張って漕いだから30ルピーよこせと言ってきた。たしか1ルピーは1.7円くらいだったから僕にとってはそこまでの金額ではないがその時は機嫌が悪くなっていたので、ノーノーノーと言い争いをしてると人が5、6人集まってきてしまった。僕はおじさんの手に10ルピーを無理やり握らせ逃げるようにその場を離れた。

俺折角の海外旅行でむかついちゃってんじゃん、と思った。この時僕は多分、まだ日本での感覚でインドを過ごしていたが、それだとどう考えてもおかしな事ばかり起こる。

この事があってから、インドではこの異常事態が正常なのだと、タージマハルを見ながら思った。一度受け入れてしまうと笑えるようになってくる。
以降ムカつくことはちょいちょい起こるが、これがきっかけで面白く過ごすことができるようになった。

「階段井戸」

「ジャイプールの少年たち」

インドに行くにあたって多少インドについて勉強したが、それぞれ行く街について詳しく調べたりはせず、地球の歩き方や数多ある旅行ブログを読んで気になったところをなんとか繋いだだけだった。

それぞれの街には要塞だったり寺だったり歴史や文化を示すものがたくさんある。する事がなければとりあえずカメラを持って街を歩き回るが、インドの歴史は全く知らないのでなんの要塞かはわからない。寺にもたくさん行ったがなんの寺なのかは地球の歩き方に書いている以上のことはよくわからない。それでも要塞のデカさには驚くし、寺も何か凄い雰囲気を感じる。予め歴史とか文化をしっかり勉強したらもっと楽しめるし面白いだろうなともったいない気持ちにはなるが、今のところはそれでいいのかなと思う。もちろん無知すぎるのは相手に失礼だったり迷惑になってしまう事があると思うので良くないと思うが。

そんなことより行動するので精一杯だったし、街を歩いたり、買い物をしたり、食事をしたり、僕はそれだけで十分に面白かった。

おすすめする訳ではないが、行きたいと思ったら深く考えず行ってみたらいいと思う。行かない方が良かったなんて絶対思わない。

「夜のジャイサルメール」

「ラクダに乗るツアー」

後日談になるが、帰国後にインドから持ち帰ったチフス菌によって腸チフスになり半月入院し病院で隔離された。この年、日本でチフスでが報告されたのは35人ほどだった。

 


島に辿り着くまでの旅(1)
島に辿り着くまでの旅(2)〜インドへの旅〜
島に辿り着くまでの旅(3)〜中央アジアへの旅〜
島に辿り着くまでの旅(4)〜ネパールへの旅〜